コレクションから今月の一枚

歌川国芳　高祖御一代略図
　文永八年鎌倉霊山ヶ崎祈雨

天保5〜6年(1834-1835)頃／横大判・錦絵／
版元：伊勢屋利兵衛

Utagawa Kuniyoshi:  Praying for Rain at Ryōzen ga saki, Kamakura, in 1271, from the series Brief Illustrated History of Life of the Great Monk
c.Tenpo 5-6(c.1834-35)／horisotal Ōban, Nishiki-e／Publisher: Iseya Rihei

「高祖御一代略図」は、日蓮の事跡を描いた10枚のシリーズ。本図は数ある日蓮の逸話の中の雨乞にまつわるもの。
文永８年（1271）、旱魃に見舞われた鎌倉で、幕府の用命により雨乞いがなされた。始めに任された良観房忍性が行うも効果がなかった。後を担った日蓮が祈りを捧げるとたちまちのうちに雨雲が現れ降雨を得、その後３日３晩降り続き、飢饉を免れたという逸話。一心に祈る日蓮と、突然の降雨に驚く弟子たちの姿が対照的である。垂直に描かれる雨が水の勢いを見せ、水面には波頭が立つ。雨音が聞こえるかのような効果がある。
　世の中心配に溢れる日々。祈りの図像を選択しました。　                    　        令和庚子の灌仏会に寄せて

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