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コレクションから今月の一枚

玉川舟調
 夏
寛政(1789-1801)後期/大判・錦絵/版元:江崎屋吉兵衛
 

Tamagawa Shūchō  
Summer ("Natsu")
Late Kansei (1789-1801)/ Ōban, Nishiki-e/Publisher: Ezakiya Kichibei

 

夏本番ももうすぐ。今月の一枚は、タイトルに「夏」と記された母と子を描いた涼やかな作品をご紹介します。

舟調は、一筆斎文調の門人で、寛政から享和期にかけて活躍したことが知られる。明和期の役者絵の第一人者であった文調が役者絵を廃した晩年の門人であるため役者絵を描かず、数は多くないが「風流化粧鏡」などの美人画や黄表紙挿絵を描いた。顔貌の表現などに歌麿の影響が見られ、流行に添ったことが分かる。大きな金盥の金魚で遊ぶ幼児とそれを見守る母親の姿を描いた本図は、舟調らしい親しみのある好品となっている。貝絞りの着物の胸元をはだけて風を入れようとする母親が手に持つ団扇に「新車」の文字があり、市川男女蔵(おめぞう)の俳名である。子供の着物の柄も市川団十郎家の三枡紋を繋いだもの。金盥には雲母が施されて、金属の質感を表している。

平木コレクションについて

平木コレクションは、戦前の三大コレクションとして著名な「松方コレクション」「斎藤コレクション」「三原コレクション」の内、実業家平木信二氏によって所有された斎藤、三原コレクションの二大コレクションに増補集大成して形成されたものです。浮世絵の創始と称される菱川師宣から橋口五葉や伊東深水という近代版画に至るまで、近世以降の版画の歴史をたどることが出来るように蒐集されたコレクションです。約6000点の所蔵作品には、重要文化財11点、重要美術品238点を含み、その質の高さは内外に知られています。

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